ワインのマロラティック発酵とは?基本を知ろう!
ワインの技術のひとつに、マロラティック発酵と呼ばれるものがあります。
ワインを勉強されている方で、一度はあれば耳にしたことがあるでしょう。
しかし、マロラティック発酵はワイン…とくに赤ワインにとって重要な工程ながら、ほとんど知られていません。
ここでは、ワイン初心者にもわかりやすくマロラティック発酵について解説していきましょう。
マロラティック発酵とは?
そもそも、マロラティック発酵とは何なのでしょうか。
マロラティック発酵とは、ワイン用語のひとつで、リンゴ酸を乳酸に変化させるための発酵工程です。
アルコール発酵と同様、発酵といった用語がありますが、決してアルコールを生成するわけではありません。
あくまでワインの味わいなどを変化させる目的で扱われている技術なので、アルコール発酵と混合して覚えないようにしておきましょう。
マロラティック発酵が必要な理由はある?
さて、そもそもマロラティック発酵はなぜワインの工程に必要なのでしょうか。
まず、マロラティック発酵は主に赤ワインを中心に取り入れられており、ほか一部の白ワインにも採用されています。
上記でお伝えしているように、マロラティック発酵はリンゴ酸を乳酸に変化させる工程です。
ワインには多くの有機酸が含まれていますが、リンゴ酸はその名の通りリンゴのような甘酸っぱさを持つ酸味です。
一方、乳酸はヨーグルトでもお馴染みですが、比較的まろやかな酸味をもつ酸となっています。例えば、赤ワインの特徴は果実味やボリューム、タンニンなどです。
渋みは赤ワインにとって重要なポイントですが、酸味が強過ぎると全体のバランスが悪く、ワインが美味しく感じません。
基本的にリンゴ酸の方がやや酸味が強く感じることから、これをまろやかにするためにマロラティック発酵が取り入れられているわけです。
白ワインのマロラティック発酵とは?
赤ワインは、酸味と渋みのバランスを取るためにマロラティック発酵をするとお伝えしました。
しかし、酸味が重要なはずの白ワインでも稀にマロラティック発酵がおこなわれています。
これは、冷涼地域で収穫される白ワインの場合、酸度が高くなり過ぎてしまうことから、穏やかな酸味にするためにマロラティック発酵がおこなわれています。
シャブリ、シャンパーニュなどが多い傾向です。
ただし、白ワインは酸が強いことも品質にとって重要であることから、基本的にはスタイルの問題といわれています。
近年、温暖化が進んでいることから、スタイルの調整以外にマロラティック発酵が必要になることは少ないかもしれません。
マロラティック発酵の効果はある?
酸味をまろやかにする以外、マロラティック発酵に何かメリットはあるのでしょうか。
まず、マロラティック発酵を経ることで、エステルなど、ワインにとって好ましい香気成分を出すといったことが示唆されています。
香りがよくなり、風味もフルーティーになるといわれているため、マロラティック発酵はワインにとってプラスに働く可能性があるのです。
しかし、マロラティック発酵は、頭痛の要因になったり、グリセリンを奪い口当たりを悪くする、バターやスコッチなど、ワインに違和感を与える香りを付与するなど、問題も多く指摘されています。
ここが、マロラティック発酵の難しさといえるのではないでしょうか。
マロラティック発酵は知るべき
ワイン通は、ブドウの品種や産地、生産者の歴史や経歴に注目します。
しかし、実際にはマロラティック発酵のような部分をどのように取り入れているか、こういった部分がワインの品質を左右します。
ぜひ、そのあたりも考えた上でワインを購入してみてはいかがでしょうか。