オレンジワインは未だ白ワインの一種?新しいカテゴリになりうるか?

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人気が衰えることのない、オレンジワイン。

日本国内で人気を博し始めた当初、ファッション的な扱いで見られていたものの、近頃は世界中の大手ワイナリーが手がけるなどメジャーな存在になってきました。

しかし、オレンジワインを語る上で、“オレンジワインは一つのカテゴリ”として認められているわけではありません。

その理由を含めて、今後オレンジワインがどのようになっていくのか、今記事で考えていきましょう。

オレンジワインというカテゴリはあるか?

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ワインショップや飲食店はもちろん、スーパーマーケットに売られているオレンジワインは、“オレンジワイン”として売られています。

“オレンジワインなのだから、当然だろう”と思う方がほとんどでしょう。

しかし、オレンジワインについてしっかりと調べると、オレンジワインと呼ばれるワインはあっても公式にそのカテゴリが存在するかというと、未だ名称として使われているだけであることがわかります。

例えば、オレンジワインと似たようなワインにロゼワインがありますが、実際にEUをはじめワイン法で定められているカテゴリであることから、オレンジワインとは違う存在であることがわかります。

日本人は“赤と白の中間のピンク色のワイン”といった曖昧な定義かもしれませんが、世界的にはロゼワインは、赤ワインや白ワインと同様に、“ワインカテゴリ”のひとつとして定義されているわけです。

なぜ白ワインの一種なのか

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これだけ広く浸透してきたオレンジワインですが、なぜいまだに白ワインの一種として扱われなければならないのでしょうか。

まず、オレンジワインの原料は白ブドウのみであり、通常の白ワインの醸し方とは違ったアプローチというだけの存在であることが理由のひとつでしょう。

一般的に白ワインは、白ブドウを原料とし、その果皮と種子などは取り除いた後に果汁のみが発酵に回されます。

一方、オレンジワインは果皮と種子を分離せず、果汁と一緒に仕込んでしまう製法のワインです。

そのため、果皮由来の色素成分が溶け出したり種子由来のタンニンが果汁に移り、結果的にオレンジがかった色合いとやや強めの味わいに仕上がります。

古くはジョージアを起源とした製法で、当時はおそらく黒ブドウや白ブドウ、さらにそれぞれに合った醸造技術などはなかったと思われ、結果的に赤ワインと同様の醸しで造られていたワインと考えられるでしょう。

そもそも、オレンジワインという用語すら近年誕生したものであり、それ以前は、あくまで醸し方が違う色の濃い白ワインといったかたちで利用されていたと考えるべきでしょう。

要するに、オレンジワインは古くからあるものの、まだまだ新しいワインであるといった部分も定義されにくい理由です。

産地がない

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オレンジワインというと、どの国をイメージするでしょうか。

ジョージアはもちろんですが、イタリア北部をはじめとした、一部の自然派な造りの生産者のワインといったイメージが一般的かもしれません。

事実、近年のトレンドからオレンジワインは世界中で生産されているのですが、これといった産地がないところもカテゴライズされにくいポイントです。

ロゼワインの場合、フランス南部やイタリア、スペインをはじめ世界中で有名な産地があり、それが文化として根付いているためワイン法でも製法が定義されています。

一方、オレンジワインを造る生産者はいても産地化できておらず、いまだ白ワインの一種としてAOPが与えられるにとどまっているのです。

これらかオレンジワインがどのような成長を見せていくのかわかりませんが、ひとつのワインカテゴリとして定着できるかが、生き残りのポイントかもしれません。