ワインは産地で決まってしまう!?だからこそ買い手が得をする!

ワインは産地、そんな言葉を聞いたことがあるワインファンも多いかもしれません。
事実、ワイン会が開催される際にテーマが、“ボルドー・ブルゴーニュ・カリフォルニア”など産地で括られることが多く、その産地ならということで出かける方もいるでしょう。
ワインは産地であることから、生産者にとってメリットもあればデメリットもあるようです。ここでは、生産者にとってワインが産地であることの重要性について考えます。
産地で価格が決まってしまう
ワインほど、価格帯がピンからキリといったお酒はないでしょう。
500円前後で購入できるワインがあったと思えば、10万円から100万円近い価格で売られているワインまで、ブドウからつくられるお酒という共通点があるのにこの差は何だと感じる人もいるはずです。
今回はテーマが別であることから高級ワインと安価なワインの違いについては言及しませんが、その価格差は産地も大きく関係しています。
ワインの価格は、誰がどのようにつけても構いません。
つくり手が自分は神だと言って魔法をかけたという1000万円のワインをつくろうが、買い手がいれば成立する世界です。
ごく稀にこういった商売を成功させている方もいますが、99%の生産者はそうもいきません。
さて、ワインはそれをつくっている産地で価格帯が決まってしまうところに難しさがあります。
例えば、ラングドックで1万円を超える白ワインも存在するでしょうが、市場に出回っても購入者が少なく、売れるかいなかは博打です。
一方、ブルゴーニュであれば1本10万円でも世界中に買い手が存在するため、値段は上がる一方でしょう。
中身が一緒であっても、その産地における適正価格を超えることはできず、ある意味ではがゆさを感じている生産者もいるのではないでしょうか。
追いつくことは難しい
世界、とくに日本の生産者の中には国際品種で世界の銘醸地を凌駕するワインを生み出したいと考えています。
もちろん、その心意気と努力は素晴らしいのですが、産地というしがらみがある以上、難しいと考えられています。
ワインは産地で決まってしまうため、あまり評価されないブルゴーニュの1000円のワインと日本でこだわってつくられた5000円のシャルドネが比肩することはありません。
ブラインドで飲み比べすれば後者に軍配が上がるかもしれませんが、海外のリアルな市場で後者のワインを手に取る層はワイン関係者か日本愛好者、または物好きでしょう。わかりやすい例として、1976年のパリ・ワイン・テイスティング、通称パリスの審判があります。
当時、ブラインドで5大シャトーなどのワインとカリフォルニアのワインを飲み比べた結果、カリフォルニアが圧勝したということで話題になったものです。
しかしどうでしょうか。半世紀経過した今、カリフォルニアはボルドーを超えたワイン産地となってはおらず、やはり世界的に崇拝されているのはボルドーの5大シャトーです。
産地の厳しさこそ、ワインの難しさでもあるわけです。
買い手にとってはラッキー
ワインは産地であるという現実は、生産者にとっては大変な部分もありますが、買い手にとってはラッキーな状況です。
本来は品質の高いワインが売られている産地ですが、裏を返せば暗黙の了解で価格が上げられずに適正な価格で入手できると考えられるでしょう。
ワインの飲み手が最も嬉しい買い物ができた時は、お値打ちワインを手に入れられた時や出会えた時です。
産地のしがらみがあるからこそ、消費者が得をするケースもあるのではないでしょうか。