ワインを土壌で飲む!ワイン会がより楽しくなるワインと土壌の話
ワインの味は、その土地の味。そんなことを聞いたことはないでしょうか。
ワインにとって原料となるブドウが育った土壌は大変重要なものであり、収穫された土地によってその価格は数倍、数十倍以上にも差が出ます。同じ国の同じ品種のワインなのに価格差がある場合、土壌の違いが関係している可能性があります。
ここでは、ワイン会でも役立つ知識として、「ワインと土壌」の関係性について解説していきましょう。
ワインはブドウで決まる
良いワインは良いブドウから。これは、ワインに携わっている人であれば誰もが知っている基本中の基本です。
本格的に造られるワインは水で薄めたりほかのエキスを入れたり、極端な味わいの調整ができません。そのため、原料となるブドウの品質がそのワインの出来映えを左右することになります。
ワインに使用されているブドウは一般的に食用ではないため(一部生食用も兼ねる)、粒が小さく糖度は高め、フェノール量と酸のバランスの良さが求められる傾向です。
良質なブドウはそれを育てる土壌組成によってもかわるため、ワインを語る人は“土壌”にも注意を払っているのです。
わかりやすいのはピノ・ノワール
ワイン会でも多く目にする高級黒ブドウ品種が、ピノ・ノワールです。ロマネ・コンティに代表されるブルゴーニュの主要品種であり、同産地のグラン・クリュレベルのワインは安くても5万、高ければ100万円以上の値をつけます。
“ピノ・ノワールは成功すれば高く売れる”といったイメージがついたのか、今や世界中で栽培されていますが、ブルゴーニュを凌駕するものはあまりありません。
ピノ・ノワールはとても繊細な黒ブドウであり、石灰質土壌と粘土質土壌がバランス良く混じり合った、複雑な土壌組成のブルゴーニュでないとそのポテンシャルを発揮できないのです。
さらに、ブルゴーニュは地層が何層にも重なった土壌組成であり、10m離れただけでできあがるブドウの質が全く変わります。
そのため、ロマネ・コンティは1本100万円以上するのに隣接する畑のグラン・クリュは10万円と価格差が出てくるわけです。
土壌の違いをしっかりと理解するのは初心者には難しいですが、ピノ・ノワールを飲み比べてみるとその違いがわかりやすいかもしれません。
土壌で飲む
ワイン会ではさまざまなワインに出会いますが、その味わいを楽しむ際、土壌を気にかけてみるのも面白いでしょう。
水はけのよい粘土質土壌で育っているメルローを主体としたワインであれば、濃過ぎずエレガントな味わいに仕上がっていますし、逆に肥沃過ぎる土壌から収穫されたブドウから造られたワインは複雑性が少なく並級であることが少なくありません。
もし、ワイン会のホストがそのワインの土壌について知らなければ、産地を検索するだけで今は土壌の情報が出てきます。
ボルドーの左岸であれば砂利質、右岸であれば粘土質、ブルゴーニュであれば石灰質、ドイツであればスレート、ボージョレの上級クリュであれば花崗岩といった具合に、その土壌に合った品種が栽培され使用されているはずです。
複雑性のある素晴らしいワインに出会った時、まずは土壌について考えてみましょう。よりワインが楽しく、おもしろくなるはずです。
ワインは農作物
ワインは高級でオシャレなイメージがあるかもしれませんが、基本的にはブドウから造られた農作物です。上辺だけの情報ではなく、その根本を知るだけでワインへの愛情が全く変わってきます。