あらためて考える!ワインにおける新酒との付き合い方!
ボージョレ・ヌーボーが毎年話題になりますが、以前のように新酒がもてはやされるような時代ではなくなってきています。
一方、イタリアやドイツ、オーストリアの新酒や、日本の新酒、時期が早いということで南半球の新酒などをアピールする業者も増えてきました。
日本人は新酒が大好きなので飛びつきやすいですが、あらためてワインにおける新酒の価値や飲み方、付き合い方などを考えていきましょう。
新酒は美味しいのか
近年、おいしくないワインに出会うことの方が珍しくなりました。
ブドウ栽培や醸造技術の発展により、安価でも新しい生産者でも美味しいワインを楽しむことができるような時代です。
ボージョレ・ヌーヴォーも以前よりも香り高く、そしてボディが強くなってきているなど新酒だからといってあっさり味というわけではありません。
そのため、昔のようにワイン通の方たちがボージョレ・ヌーヴォーは美味しくないといってマウントを取ろうといった時代は終わっています。
一方、新酒として美味しく飲めるワインは、逆を返せば熟成を目指していないワインと考えることもできるでしょう。
ブドウ品種は熟成させる必要のないライトなもの、もちろんパワフルなワインを生み出す品種であっても抽出が抑えられているなど、ライトからミディアムボディ、フルーティーとなることが前提のワインです。
普段、濃厚なフルボディタイプのワインがお好きな方。
また、熟成がもたらすアロマの複雑さを感じないと物足りないといった方にとっては、新酒は立場が違うため評価がしにくいかもしれません。
新酒が人気の裏で
近年、エレガントで繊細、フィネスを感じさせるワインがトレンドですが、それも逆を返せば「早飲み」の時代ということになります。
本来、赤ワインは収穫してから最低2年程度の熟成を経て市場に出回るものですが、新酒はその年に収穫されたブドウを使って年内に出荷してしまうような、超早飲みワインと言っても過言ではありません。
日本人は新しいもの好きなので、日本酒も新酒、そばも新そば、魚も新さんまなど、「新」の言葉に大変敏感です。
それは文化の違いによるものなので決して悪いことではありませんが、逆を言えば世界中、また日本のワイン生産者がそこを狙ったマーケティングがしやすいといった部分があります。
ワイン生産者にとって熟成は諸刃の剣で、ワインを貯蔵していれば当然それだけのコストがかかります。
さらに、普通のワインとして出荷した際にそのコストを回収できるかは不明であり、ワインづくりにはそれなりのリスクがかかるのです。
一方、「新しい」といったことを売りにできる新酒はコストパフォーマンスも良く、さらに味わいが淡いものでも否定されずに消費されます。
日本で世界中のワインの新酒が人気になっている背景には、こういったビジネス的な部分もあるのではないでしょうか。
ワインの新酒との付き合い方
今後、ボージョレ・ヌーボーの市場は縮小していくことは間違いありません。
ただヌーボーということで飛びつく人は少なく、さらに日本ワインが人気であることから、それに加えて世界各国のヌーボーが登場していくことでしょう。
その年の収穫を祝うといった意味を持つワインの新酒ですが、本来そのヴィンテージの真価があらわれるのは熟成を経るなど、ブドウの持つポテンシャルをどう活かすかにかかっています。
新酒を飲むことで仲間と集まれるとか、何となくイベントだからとか、深く考えすぎずにワインの新酒文化が日本で根付いてくるかもしれません。
新酒と付き合う際は、難しいことを考えたり品質を批評するのではなく、本当にカジュアルに楽しむのが良いのかもしれません。