日本ワインとどう付き合う?ブームが去り始めたか?
ワイン会に参加されている方の中でも、日本ワインに注目されている方は多いのではないでしょうか。
近年、日本ワイン人気が加熱しており、500近くのワイナリーが存在しています。
10年以内にワイナリーの場数が倍近くに増加していることを見れば、明らかに日本ワインブームが到来していることがわかるでしょう。
しかし、日本ワイン人気がやや下火といったニュースがあるようです。
ワイン好きとして、これから日本ワインとどう付き合っていくのか、ここで考えていきましょう。
ブームはあった
日本ワイン人気は数年前に始まったと言われています。
山梨県をはじめ、日本ワインの多くはお土産ワインといったかたちで認知されており、食用ブドウを使用した甘くて美味しい田舎っぽいワインといったイメージを持っていた方もるかもしれません。
しかし、カルチャー雑誌や著名人、尖った飲食店などの影響により、真面目に高い品質を目指し日本ワインをつくっていた生産者に注目が集まります。
おしゃれだけどよくわからないワインが、日本でつくられており、なおかつ意外に美味しい。さらに生産数が少ないため希少価値が高く、高額であってもマニアが買い漁るといった状況になりました。
ワイナリーには観光バスが多く到来し、今まであまりワインを知らない方が個人的にワイナリーに訪問するなど、まさしく日本ワインブームが到来していたことは間違いありません。
ブームは生産者側か?
そんな日本ワインブームが到来して以来、日本ワインをよりよく知るための検定ができたり日本ワインに特化したコンクールが注目を浴びたり、日本ワインを専門とするサイトなども乱立したり、輸入ワインとは別軸の立ち位置で注目を集めることになります。
ワインが身近になったこともあり、ワインを勉強される方もどんどん増えてきたことでマニアと呼ばれるような方も続々と登場しました。
日本ワインを提供する側もテロワールを提示したり中にはヴィンテージを紹介する、北海道や長野県、山形県といった山梨県以外の県で優れたワインがつくれること、さらにスター生産者が増加するなど数年前では考えられないブームが到来したのです。
国もワイン生産者になるためのハードルを下げたことで、数年で生産者が増殖。ひとつの産地として日本が君臨し始めるような土壌が形成され始めてきました。
しかし、一方で理想と現実の解離が起きている状況にあり今、日本ワイン産業が厳しい状況に陥りつつあると言われています。
距離感を意識
例えば、大手ビール会社が主軸であるワイナリーを閉鎖するといったニュースが近頃話題となりました。
大手ビール会社は採算重視であることから、その部門が切られるということはそれ相応の市場しか作れなかったことになります。
若い世代のお酒離れやアルコールへの距離感に加え、原料ブドウ調達の難しさ、高齢化における問題、さらにパイがマニアだけで回遊してしまっているなど、なかなか打開策を見出せないままブームが下火になってきてしまっているのです。
さらに、こだわりのワインを生み出せば飛ぶように売れるレア生産者もいますが、もともと高額な上に採算を取るのが難しい。
ワインを購入する層はある程度限られており、生産者が増えればそれだけ選ばれる確率も低くなるわけで苦しい状況は継続します。
品質が高いことは理解されていても、だからといってリピートして購入するような、太客をどのように捻出するかが課題です。
ワイン好きとしては、日本ワインを応援するしないにかかわらず、一定の距離感で見つめるべきでしょう。これから淘汰の時代がやってきます。
いたずらに品質の足りないものを礼賛する傾向をやめない限り、日本ワインがこれから生き残ることは難しいでしょう。