ワイン酵母で仕込まれるお酒とは何か?
ワイン酵母で仕込んだ日本酒や焼酎、ビールといった商品を目にする機会が増えてきました。
以前は、ワインはワイン、日本酒は日本酒、焼酎は焼酎、ウイスキーはウイスキーといった形で区分けされていましたが、お互いの良さを組み合わせたらどんなお酒ができるのかといった挑戦から、いろいろなアイテムが登場しているのが昨今です。
しかし、ワイン酵母で仕込まれたお酒はどんな特徴が出るのでしょうか。
それを知れば、ある程度味わいの予想がつくかもしれません。
酵母にはさまざまな種類がある
ワインをはじめとしたアルコール飲料は、酵母の働きなしでは発酵することができません。
お酒に使用される酵母はサッカロマイセス・セレビシエ属と呼ばれる酵母であり、その種類も多岐に渡ります。
ワイン用酵母として使用されているものもサッカロマイセス・セレビシエ属のひとつであり、要するに同じ属酵母の中のワイン用を用いてほかのお酒に代用しているということになります。
サッカロマイセス・セレビシエ属自体、お酒の種類に関わらず目的はアルコールと二酸化炭素を生成させることを目的に働きます。
日本酒に使用されている酵母は比較的アルコール耐性が強いため、アルコール度数の高い日本酒であっても対応できると考えられるでしょう。
どの酵母を使用してもアルコール発酵は可能ではありますが、それぞれ目指す酒質によって使い分ける必要があり、適当に使用すれば良いというものではありません。
ワイン酵母でつくるとどうなる?
ワイン酵母は、当然ながらワイン用に利用されている酵母です。
そのため、ワイン以外で使用されることは滅多になく、極稀に企画として利用されるのみにとどまっています。
しかし、近年さまざまなメーカーが酒類の垣根を超えてユニークなコラボレーションを展開するようになり、日本酒や焼酎、ビールにワイン酵母が使用されることが多くなってきました。
「ワイン酵母を使用した」というと、どことなくおしゃれでスタイリッシュな印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、実際のところ味わいはどのような感じになっているのでしょうか。まず、ワイン酵母はワインのアルコール度数に対応していることから、あまり高アルコールのアルコールでの発酵には使用しにくところがあります。
次に、香りをしっかりと出すこと、酸が強くなるところも特徴でしょう。
使用する酵母の種類によってもさまざまですが、ワイン酵母で仕込まれたお酒は相対的に酸味がシャープで香りが華やか、そしてキレがある印象に仕上がるようです。
濃厚でどっしりとした、といった印象ではなく、あくまでスパークリングワインのような軽快な印象となるところが特徴でしょう。
ワインにほかの酒類の酵母は使えるか?
ワイン酵母自体、さまざまな酒類で活用されていることがわかっています。
しかし、一方でワイン自体に別の酵母を利用するといったことはあるのでしょうか。
実際問題、一部だけ日本酒酵母を使用したワインが試行錯誤の上発売されていましたが、全体で見ればほぼ皆無といってもいいかもしれません。
ビール酵母で仕込むワインもほぼ聞いたことはないでしょう。
ワインの原料はブドウであり、赤ワインであれば果皮や種子、果汁が一緒に仕込まれます。
ワイン酵母はその中の香り成分なども出す役割をもっており、ほかの酵母ではなかなかそれができません。
アルコール度数や全体のバランスなど、ほかの酵母を使用しても未知数としか言い切れないのです。もちろん、今後ワインに別の酒類の酵母が使用される可能性は十分にあるでしょう。
一体、どんなワインが仕上がるのかとても興味深いですね。