オレンジワインは本当に魅力的なのか?懸念点とは?
ここ数年で話題になっているワインが、オレンジワインです。
イギリスのワイン貿易商の人物が名付けたこのオレンジワインですが、“新しいワインカテゴリ”として今もなお人気を博しています。
飛ぶ鳥を落とす勢いのオレンジワインですが、本当に魅力的なワインなのでしょうか。
ここでは、オレンジワイン人気をあえて斜めから見ていきたいと思います。
本物のオレンジワインは高額
オレンジワインの醸造法は、簡単にいえば白ワインと赤ワインのように醸す…といった方法です。
ジョージアでは古くからオレンジワインが製造されていたそうで、近年イタリアの北東部の生産者がそれを復活させたことで話題になったといわれているようです。
本物の…というと語弊があるかもしれませんが、伝統的なオレンジワインはヴァン・ナチュール系が多く、手間がかかる上に希少性が高く高額です。
さらに、ヴァン・ナチュールであるが故に健全か否かは飲んでみなければ分からず、正直ギャンブル的な部分があります。
ある意味、5,000円以下のものは少なく、ブルゴーニュの村AOCを購入した方が確実、といえなくもありません。
ワインを飲み馴れていないとわかりにくい
オレンジワインの味わいは、オレンジピールや柑橘、バニラ、アプリコット、ハチミツ…など、さまざまな要素を楽しめます。赤や白、ロゼにはない独創的な味わいこそ、このオレンジワイン人気のひとつといえるでしょう。
しかし、オレンジワインに定められている定義などは曖昧であり、自由…といった状態です。
非樹に香り高いものもあれば、あまり風味のしないピュアなものまで幅広いラインナップとなります。
こういった定義のない味わいのワインは、ワインを相当飲み馴れている方でないとわかりにくい、といった懸念点があります。
普段ワインをほとんど飲まない方にとってオレンジワインは、ワインに期待している味わいではないでしょうし、逆にこれを美味しいと捉えるべきか悩んでしまうかもしれません。
オレンジワインは素晴らしいワインである一方、ワインを知り尽くしている方でないと正しく評価できない、といった懸念点があるのです。
ファッションとして消化される可能性
世界中でトンレドとなっているオレンジワインは、ファッションとしても人気といわれています。
一部の尖ったナチュラルワインを提案するショップなど、そういった場所に集う感度の高い 人たちに人気といった具合です。
色合いは、ほかにない感じ、さらにラベルデザインなどもヴァン・ナチュールが多いことから独特。
ファッショナブルな雰囲気を醸し出すため、オレンジワインは人気を集めます。
しかし、その一方で流行りもの、つまりファッションとして消化されて消えていく可能性があるのです。
そもそも、オレンジワインを評価すべきは歴史とその生産者へのリスペクト。
さらに、なぜ白ワインを赤ワインと同様に醸すとこういった味わいになるのか…など、ワインについてしっかりと理解した上で対峙すべきワインです。
上記で解説したように、オレンジワインにはさまざまなクオリティのものがあり、正直ただ白ワインを赤ワイン風に醸しただけの手抜きワインも少なくありません。
ヴァン・ナチュールであれば、健全かどうかもわかりません。
それを、“おしゃれで流行っている”といっただけで手を出す人が増えた時、“実は美味しくないし、意味不明”と捉えられたら、オレンジワインのその先はありません。
ファッションで消化されないよう、業界も正しい情報を出し続けることが必要でしょう。
ワインファンが発信し続ける
オレンジワインを本当に根付かせるためには、ワインファンがしっかりと発信し続けることが必要です。
一過性のブームで終わらせないためには、正しい、本物のオレンジワインを発信し続けることが重要になります。