ワインに使用されているブドウに「ワイン用」と「生食用」がある?
ワインの原料はブドウということがわかっていても、「食べるブドウ」と「ワイン用のブドウ」の違いがわからない…という方も少なくありません。
とくにワイン会に参加している初心者の方は、「ワイン」という部分に注目しており、「原料ブドウ」は二の次といった場合が多い傾向です。
ここではワイン会で質問された時にも使える、「ワイン用ブドウ」と「生食用ブドウ」についてお伝えします。
ワイン用&生食用がある?
普段私たちがデパートのフルーツ売場で目にするブドウ。その多くが生食用ブドウと呼ばれています。生食用ブドウとはその名の通り、「食べることを目的」にしたブドウ。
デラウェアや巨峰、ピオーネなどがそれに当たります。
一方、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなどはワイン用ブドウと呼ばれており、「ワインの原料となることを目的」としたブドウ。
前者がヴィティスラブルスカ(アメリカブドウ)、後者がヴィティスヴィニフィラ(ヨーロッパブドウ)などと呼ばれ、その用途に分けて使用されています。
何が違うのか?
ヨーロッパや新世界が揃うワイン会の場合、揃えられているワインの原料はワイン用ブドウであるはずです。
とくにヨーロッパでは生食用ブドウから造られるワインは品質的に受け付けられず、ほとんどそれを見ることはありません。
そもそも、生食用ブドウとワイン用ブドウにはどのような違いがあるのでしょうか。まずワイン用ブドウは生食用ブドウに比べて糖度が上がります。
アルコール発酵にはある程度の糖度が必要であることから、生食用の多くはワイン造りに向いていません。また、ワイン用ブドウは果皮が厚く(香り成分、フェノールなど多種多様な成分が豊富)、粒が小さく、酸度もそこそこあります。
良質なワインは、酸味と香り、アルコール度数などのバランスが重要です。
“美味しいワイン”は、ブドウジュースとは別物であることはご理解いただけると思いますが、そういった意味で複雑な味わいを生み出すにはワイン用ブドウが優れていると考えられます。
生食用ブドウのワインとは?
一方、生食用のブドウからもワインが造られています。
デラウェア、コンコード、キャンベルアーリー、巨峰、甲州、マスカット・ベーリーAなどがそれに当たります。甲州は起源がヨーロッパブドウであるため、アメリカブドウとは少し違いがありますが、生食用も兼ねる独特なブドウのひとつです。
ほか、ヨーロッパブドウとアメリカブドウが交雑されて生まれたブドウもあるため、ワイン用でも生食用でも可能という独特なブドウが日本には多くあります。そんな生食用ブドウですが、多くが“フォクシーフレイバー”と呼ばれる、ブドウジュースのような独特の香りがあるといわれています。
また、ワイン用ブドウのように糖度が上がらないため、水っぽくてブドウジュースのような味わいのワインが多いといわれているようです。
近年、日本では栽培方法や醸造方法を工夫して良質なワインが製造されていますが、独特な風味といった意味ではワイン用ブドウとは違った立ち位置として認識されています。
まずはワイン用ブドウから知る
生食用ブドウから造られたワインが悪いわけではありません。
飲みやすく、ワイン初心者には大変喜ばれる味わいです。ただし、今後ワインについてしっかりと学んでいきたい方であれば、ワイン用ブドウについて知る必要があるでしょう。
ワイン用ブドウには数多くの品種があり、それぞれ個性が全く違うためできあがるワインの表情が全く違います。
まずはワイン用ブドウを知った上で、普段食べている生食用ブドウについて学ぶとその違いがよく理解できるでしょう。
ワイン会に行く前に、ワイン用ブドウから造られたワイン、そして生食用ブドウから造られたワインを飲み比べて勉強してみてください。