世界のワイン地図が変わった?ワイン会のラインナップも変わるか!?
近年、ワイン産地が広がりを見せています。
ワイン会を開催する際、定番のヨーロッパやニューワールドだけでなく、今まで全く想像しなかった国のワインを扱う日も近いかもしれません。
ここでは、なぜワイン産地が広がりを見せているのか、その理由を考察していきたいと思います。
ワインベルトについて
一般的にワインが造られている産地は、「ワインベルト」と呼ばれています。
厳密にいうとワインベルトとは、“ワイン用ブドウの栽培に適している産地”ということであり、新鮮かつ健全なブドウから高い品質のワインが生まれている産地と考えるとわかりやすいでしょう。
ワインベルトの条件は、「北緯30から50°、南緯20から40°」の産地で、平均気温はおよそ10〜20℃の間、さらに日照時間が1300時間前後で、降雨量も500から800mmの産地がこのワインベルトに含まれるとされています。
もちろんこの範囲でないワイン産地も昔からありますが、有名ワン産地は往々にしてこのワインベルトに収まっている現状です。
ワインの世界地図が変わってきた
さて、近頃はこのワインベルトが変化していきているといわれています。
冒頭でもお伝えした通り、ワイン産地はフランスを筆頭にしたヨーロッパ、アメリカを代表するニューワールドといった形で、ある程度産地が定まっていました。
これら以外にも産地は数多く存在していましたが、それでも目立った動きは少なく、あくまで「マニアックな産地」として認識されていた程度です。
それが近年、今まで目立つことがなかった産地に注目が集まり、さらにその産地から世界レベルのワインが多く生み出されるようになってきたのです。とくに顕著なのが、イギリスや日本、ブラジル、フィンランド、デンマークなどでしょう。
なぜ、こんなことが今起こっているのでしょうか。
温暖化や栽培技術などの向上
ワインの世界地図が変わってきた理由のひとつが、温暖化です。
ワインはブドウから造られるお酒であり、さらにその原料ブドウは自然環境に大きく由来するため、今までワイン用ブドウの栽培に適していない場所が、逆にちょうどよい環境になったりしています。
例えば、前述したイギリスはシャンパーニュより緯度が高く冷涼過ぎる産地でしたが、温暖化により最高の環境となりました。石灰岩質の土壌組成にほどよい冷涼な気候条件となったことで、シャルドネやピノ・ノワール、ムニエでよいものが収穫できるため、シャンパーニュを凌駕するものも現れだしています。
さらに、栽培技術や醸造技術の革新もあるでしょう。
どんな栽培環境でどういった対処をすればよいものが造れるのか。
さらに、欠点の少ないワインを生み出すための醸造技術や最新鋭の機材の普及など、“ここでしかできないワイン”といった概念が崩れ始めてきているのです。
ワインの価値が変わる日も近い
前述した温暖化の影響を受けているのは、当然既存の銘醸地も同様です。
とくに問題視されているのが、ブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュといった伝統的なワイン産地。今まで通りの品種が育ち過ぎてしまったり、栽培が難しくなるなど、品質を保てなくなってきている可能性があります。
そのため、産地によってはすでに新しい品種を導入する実験をしていたり、10年先を見据えた新しい味わいの造りなどにチャレンジする場所も出てきているほどです。
“この産地のワインだから高い”といった価値に品質が追いついていかない場合、ますますワイン離れが加速します。
一方、ワイン地図が変わることで適正価格、そしてその品質、その国らしさといった形でますますワインが盛り上がる可能性も。